Iriya’s lifelog

約束の日までの記録

奇跡のはなし

今日聞いた話を、忘れたくないから書いておく。

 

いつも行く定食屋さんのお姉さんに、私は話した。

離婚したこと、転職したこと、今の仕事が辛いと感じること。

心細かったこと。

ひとりぼっちだとおもったこと。

私の家族の大事な猫がストレスで脱毛症になっていること。

この店に初めて来たとき、絶望という言葉しかみつからない気分だったこと。

料理が大好きだった私が、一人になって、料理をつくれなくなったこと。

そんなときに、あたたかいこの店の料理に救われたこと。

声をかけてくれるおねえさんたちや常連さんたちに救われたこと。

笑えるようになったこと。

今は会えないけど、いまでも大事に思っている人のこと。

 

お姉さんは私に話してくれた。

両親が亡くなったこと。

大好きな妹のこと。(お姉さんと妹さんは一緒にお店をやっている。)

両親を亡くして、私たちもう死んじゃってもいいね、と

妹と言いあったこと。

お店をはじめることにしたこと。

とても辛い出来事に巻き込まれてしまったこと。

 

「すごくつらかったけど、どうにもできなかった。

なぜだかわからないけど、とめられなかった。」

わたしがそういうと

「そういう流れ、みたいなものがあるからね。」

とおねえさんが言った。

「でも、私には必要なことだったのだとおもう」

と私がいうとおねえさんも、

「私もね、ものすごい辛いことに巻き込まれてしまったの。

でもね困った時にどこからともなく助けてくれる大人がやってきて、

助けてくれた。

こんなふうにいったら、オカルトみたいにきこえちゃうかもしれないけど…

まるで神様がレールをしいてくれているみたいに、

つぎつぎ助けがやってきて、このお店ができた。

だからね、乗り越えられないことは起きないよ。

すごいつらかったけど、だから今このお店があるし、

このお店があるから、あなたとも縁があって出会えた。

だからもしあなたが助けが必要なら、このお店には色々な人が来るし、

私は助けになってくれそうな人を紹介してあげられる。

きっと助けはくるから」

そう言って笑った。

 

そのとき、そういってくれるお姉さんこそが、

わたしにとっての助けてくれる大人だった。

私は笑っておねがいします、といってお会計をして店を出た。

帰り道、笑いながら泣いた。

 

昔、奇跡といったら死んだ人が生き返るとか、

輝く光の剣が悪を打ち倒すとか、不治の病が完治するとか

そんなことだと思っていた。

こんなにも身近に奇跡はある。

奇跡に溢れてる。

これから私は、奇跡を信じて生きようと思う。