雨
雨が天井や窓をたたく音で目が覚めた。
雨や風を感じられるこの部屋がとても好きだ。
緑に囲まれて、鳥の声が聞こえて、猫たちが闊歩する。
私はこの場所を愛している。ここを去るのはさびしいけれど、
今はまだ、ここにいられる幸福に感謝したい。ありがとう。
当たり前のことだけれど、寝ている間は現実の記憶ってないのだなあと
感心する。
目が覚めて、隣に眠るこの人はもう他人なのだと思い、
静かに悲しくなる。
ちゃんと悲しんで、ちゃんと次のことを考える。
悲しいと胸が痛くなるのは不思議だと思う。心臓のあたり。息がとまるように痛む。
脳とは別にやっぱり心という器官があるのではないかと錯覚する。
食事をとり、眠り、仕事をさがし、風呂に入り、掃除をし、履歴書を書き、
勉強して、ブログを書いて、食事をし、食器を洗い…また眠る。
「今」はそういう積み重ねでできている。
私は悲しみが癒えることを知っている。