いやな予感はあたらない。
今朝、猫が血を吐いた。
猫を飼っている人ならわかると思うけれど、吐くこと自体は猫の生理現象みたいな
もので珍しくもない。
ところが、今日は血を吐いた。正確には胃液に血が混ざっていて、
サーモンピンクな液体とフードと毛玉を吐いたのだ。
猫の体調は私の体調とリンクしている、と彼にいわれたことがある。
私もそれは感じていて、だから私の精神状態がとても弱っている今、
心配していたことだった。いやな予感がした。
私はとりあえず嘔吐されたものを写真にとって、猫をつれて動物病院にいってきた。
うちの猫はすごく鳴く。
病院で恥ずかしいくらい鳴く。まわりのみなさん、ごめんなさいと思いながら
30分くらいは待っただろうか。
その獣医さんはがっしりした体のひげのおじさんで、温かい感じのする人だった。
見たとたんに人を安心させてしまうような。そういう人もいる。
にこにこしながら私の大事な猫をがっしがっしとなでて(猫の毛がすごいぬけおちた)
「結論から言うとね、心配ないとおもいますよ」と笑いながらいった。
私はとても安心して、よかった、とありがとうございます、をくりかえしていた。
「最初に吐いた後、ごはんもたべているんでしょう?それなら大丈夫、いやな吐き方じゃないから。」
「いまね、ほらすごい毛が抜けるでしょう」
ああ、それを確かめるためにあんなにつよくなでていたのか…。
毛がぬける時期で、吐く回数がふえていること。沢山吐くと粘膜がきずついて、
血が出ることがあること。
そういったことを説明してくれた。
そして、うちの猫を可愛くてたまらないというように顔を近づけたり、
なでたりして、
「しっぽがもうすこしでたちそうなんだけどなあ!」
といった。(猫はごきげんなとき、しっぽをぴんとたてるのです)
私は優しい獣医さんと、親切な看護師さんにお礼をいって、
相変わらずあおんあおんと鳴いている猫をかかえて家についた。
いやな予感はあたらない。覚えておこう。